にちようびのはなし

ひたすら気だるく八月は疾走していく。また一つ歳をとってゆく。
安物のイヤフォンいっぱいに夏が流れている。

子宮の中で混ざり合う悲しさを、その人の指が手慣れた手付きで洗い流して殺人的な陽射しの中車に乗り込んだ
陽気に流れるレゲエミュージックがいつしか叩きつけるハードコアに変わって私は眠気しか感じなかった
セックスフレンドという言葉を作り出した奴に会ってみたい。賞賛したい。
セフレだよねと問えば違うよと返ってくる。セックスしたらセックスフレンドじゃないのか。
良いから外でろよ。日焼けした顔で高校球児みたいな笑顔で私はその笑顔が羨ましいと思う。住む世界が違う。多分見ている世界も違うだろう。
マイルドセブンが部屋一杯に広がるなかでアイスを貪って帰った。
考えていることが分からない人種って、居るもんだ。

一週間を回想してわたしはもう修正不能なほどに倫理観がぶっ壊れたことを悟る。
お金がないと人はおかしくなってしまう。おかしくなる前にストッパとして家族が居るやつはいい。恋人が居るやつはいい。友人が居るやつはいい。
残念ながら私は家族は不能で、恋人にはこれ以上迷惑も掛けられず相談出来るような友人もいなかった
喰われる価値があるなら使おう、と思ってしまった。
考えうる限りで一番損害が大きい選択肢だった。恐らく恋人も友人も失う選択肢だ。
黒く縁取った幼い彼女の目を私も今しているんだろうか。鏡には死んだサカナの目をした女が此方を見て立っている。