闇雲

オレンジ色の光はかみさまの光だった
どんな酷いことをしていたとしても どんな汚いことをしていたとしても どんな醜い思いを持ったとしても
私は貴方を軽蔑なんかしない。
タバコの煙が車の窓へ吸い込まれる。オレンジ色の光に彼女の顔が浮かび上がってとても綺麗だった。

私の世界はとても小さくてきっときっとひとりぶんしかなかった。だから誰も愛せなかったし愛されることも難しかった。外側から呼び掛けられたそういう優しさを咀嚼して生きていた。
ギターを弾きたい気分だったけど実家に置いてきてしまったから諦めてリキュールを煽った
ドアノブに引っ掛けたタオルがその時を待ちわびていた
イヤフォンから流れるのはラブソングだったけど送り出すのに十分な役割を果たしている
と思ったのに

昔付き合っていた男が同じように冷蔵庫にタオルを引っ掛けてそこに首を預けた。冷蔵庫は耐えきれず彼に覆い被さった。
ドアノブはそういう心配はなかったけれどタオルがどうやら耐えきれなかったようだった。
玄関はえらく冷えて尻が痛かったけど私はどうやら生きている。どうせ死ぬ気もなかったんだろうと自分を罵倒した。イヤフォンからは拳銃自殺したロッカーががなっていた。