脳みそが幕を取り去り僅かばかり処理能力が上がると
見て見ぬ振りしていたものたちがよく見えるようになる
それは模様だと思っていたものが虫がたかっていただけだったことに気付く、
どうしようもない衝撃と嫌悪感に似ている
同じ言語を話しているのに全く伝わらない恐怖を誰かに伝えようと思っても難しい
世界が違いすぎて救えないと思う
そういう経験を私も誰かにさせているし、日本のどこかでそれは常に起こっている
静かな階級社会だ
その壁に触れるとき、いつも絶望が待っている
新しい世界というのは私にとっていつも絶望が付きまとっている



世界全体が幸福にならないうちは個人の幸せはあり得ないと
宮沢賢治は言ったけれども
私は世界全体がバカにならなければそれは永遠に不可能だと思う
少なくともDVを受け続ける彼女は他人から見てどうあれ
彼女自身は幸せだと思っているようだった
頭の良い人たちはなまじ頭が良いだけにただ胸を傷ませるだけで
きっとみんな鈍感で馬鹿にならなければ幸せにはなれないのではないかと
考えてしまう